若山牧水賞【若山牧水賞運営委員会】

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ホーム > 歴代受賞者 > 第27回若山牧水賞(2022年)奥田 亡羊

歴代受賞者

第27回若山牧水賞

受賞者 奥田 亡羊 おくだ ぼうよう

(歌人。東京都大田区在住)
昭和42年6月5日 京都府生まれ
早稲田大学第一文学部卒業

黒瀬 珂瀾
受賞作品 歌集『花』(第3歌集)
◎発行所/砂子屋書房
◎発行年月日/令和3年12月10日
~自選15首~
鏡の奥にひと月ぶりの髭を剃る/空には竜の匂いがした
積まれゆく豚の背中に降る雨の/いのちの湯気は貨車ごとに立つ
暮るる世界に靴のみ白く歩みゆくわれらか/とうにこむらつかれて
むらさきの月がのぼればひとりでに/羊の群がちぎれたりする
月光をもろ手ざわりに揉みしだく/菊ならば菊におい立つまで
鳥葬のような交わり重ねつつ/夜ごとに人の青空を見る
アルバイトの経験をとえば俯きて/鹿の腑分けの熱さを語る
山からは山の匂いが流れきぬ/定時制高校の夜の運動会
弟の学費を払いおとうとの下級生となる/姉の篠田さん
きょう会いしひとりは光、ひとりは風/ながき日暮れを揺れる穂すすき
フラワーなビューティフルなり/青空の下であなたと抱き合っていた
形なき猫を抱けば/あたたかい袋のなかに骨が動いた
転生をなさざるものは洗われて月のあかるき砂浜にあり
滴れる花火にしばし総身を照らし出されて子のしずかなる
今日のために生きん今日あり/丈ひくき躑躅の奥に蟻みだる見ゆ
受賞歴 平成17年『麦と砲弾』で第48回短歌研究新人賞受賞
平成20年歌集『亡羊』で第52回現代歌人協会賞受賞
平成30年歌集『男歌男』で第16回前川佐美雄賞受賞
作歌活動 短歌結社「心の花」会員。

歌集:『亡羊』『男歌男』
編著:『シリーズ牧水賞の歌人たち~佐佐木幸綱』