ホーム > 歴代受賞者 > 第26回若山牧水賞(2021年)黒瀬 珂瀾
歴代受賞者
第26回若山牧水賞
受賞者
黒瀬 珂瀾
氏
(歌人。富山県富山市在住)
昭和52年7月22日 大阪府生まれ
大阪大学大学院文学研究科修士課程修了 |
 |
受賞作品 |
歌集『ひかりの針がうたふ』(第4歌集)
◎発行所/書肆侃侃房
◎発行年月日/令和3年2月1日
- ~自選15首~
- 光漏る方へ這ひゆくひとつぶの命を見つむ闇の端より
- 余したる離乳食わが白米にかけて済ませる朝餉のあはれ
- 父われの胸乳をひたに捻りゐる娘よ黄砂ふる夜が来る
- 言葉を五つ児が覚えたるさみしさを沖の真闇へと流して帰る
- 線量を見むと瓦礫を崩すとき泥に染まりしキティ落ち来ぬ
- 生なべて死の前戯かも川底のへどろ剝がれて浮かびくる午後
- 熱の児が眠りゆきつつしがみつくわれはいかなる渡海の筏
- 冬田を削る男らの影とほく見てわが被曝けふ10
μSv
- 行き交へるバスどのバスも服青き男ひしめき1Fへゆく
- かもめ散る朝、歩みきて青年は誦せり無花果枯らす条を
- けふひとひまた死なしめず寝かしつけ成人までは六千五百夜
- 妻と児を待つ交差点 孕みえぬ男たること申し訳なし
- 早鞆の瀬戸に朝霧晴れゆけば昨夜の訃ひとつ潮に光るも
- 阿蘇の陽に首照らされて妻は立つ旅嚢を分かつひとのゐること
- 児は遠き弥生の野火を見つめをり外輪山を背にして抱けば
|
受賞歴 |
平成10年 中部短歌新人賞受賞
平成15年 歌集『黒耀宮』で第11回ながらみ書房出版賞受賞
平成28年 歌集『蓮喰ひ人の日記』で第14回前川佐美雄賞受賞
令和3年 第38回とやま賞受賞 |
作歌活動 |
短歌結社「未来短歌会」会員。
同人誌[sai]同人。「鱧と水仙」同人。
歌誌「未来」選者。「読売歌壇」選者。
歌集:『黒耀宮』『空庭』『蓮喰ひ人の日記』
その他著書:『街角の歌』など |