若山牧水賞【若山牧水賞運営委員会】

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ホーム > 歴代受賞者 > 第25回若山牧水賞(2020年)谷岡 亜紀

歴代受賞者

第25回若山牧水賞

受賞者 谷岡 亜紀 たにおか あき

昭和34年 高知県生まれ
早稲田大学第一文学部中退

谷岡 亜紀
受賞作品 歌集『ひどいどしゃぶり』(第5歌集)
◎発行所/ながらみ書房
◎発行年月日/令和2年8月1日
~自選15首~
大平原に散らばる馬は空仰ぎスペースシャトルの打ち上げ見上ぐ
風渡る大地の隅に初めての目覚めのごとく今朝目覚めたり
苦しみと感謝が多分まだ足りない 酔い覚め今朝も「ひどいどしゃぶり」
酒と薔薇の日々、だとしても泥水に喉まで浸かり雨を見ていき
つんのめりガードレールに嘔吐して或る早朝に終わるのだろう
噴水が凍っていたな あなたにもおれにも等しく時は過ぎゆく
雨の中雨のバス待つたまゆらを心は過去の街角におり
記憶は老いず時のみがゆく 簡潔な冬の木立ちに陽が当たりおり
宇宙より還りし猿は一夜にていたく老いたり灰色グレイの瞳
陰鬱に黒き雨降る近未来より帰り来て歯を磨きおり
生きて遭う今日の辛苦としてわれは冬の便器に跪きたり
大鍋に豚の心臓が煮られいてここから日本までの五千キロ
午後の車窓に熱帯雨林が続きおりマラッカ海峡まであとわずか
手術後の疼痛の中まどろみて繰り返しみる墜落の夢
リラの花ほころび河に光充ち君無き国にまた春は来る
受賞歴 昭和62年 『「ライトヴァース」の残した問題』で第5回現代短歌評論賞受賞
平成6年 歌集『臨界』で第38回現代歌人協会賞受賞
平成19年 歌集『闇市』で第5回前川佐美雄賞、第12回寺山修司短歌賞受賞
令和元年 歌論『言葉の位相』で第17回日本歌人クラブ評論賞、 第6回佐藤佐太郎短歌賞受賞
作歌活動 短歌結社「心の花」選者

歌集:『臨界』『アジア・バザール』『闇市』『風のファド』
評論集:『<劇>的短歌論』『佐佐木幸綱』ほか
エッセイ集:『歌の旅』など