若山牧水賞【若山牧水賞運営委員会】

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ホーム > 歴代受賞者 > 第20回若山牧水賞(2015年)内藤 明

歴代受賞者

第20回若山牧水賞

受賞者 内藤 明 ないとう あきら

歌人、早稲田大学教授
昭和29年 東京都生まれ
早稲田大学第一文学部日本文学専攻卒業
早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程退学

内藤 明
受賞作品 歌集『虚空の橋』こくうのはし
◎発行所/短歌研究社
◎発行年月日/平成27年7月21日
~自選15首~
尖りたる氷を指で沈めをりオモテニデロといふ奴もなく
留学生さんリーイー先生海をめぐりてことばを交はす
そのこゑの身のうち深く遺れるを鎮めてひとり蕎麦を啜れり
木の椅子となりて芝生にひねもすをもだしてあらば楽しかるべし
人類の地に在る時間短かきを今年のもみぢの遅きを言へり
クロゼットの奥に縛られ二十年人の姿を映さぬ鏡
亡き人のSuicaで買ひしコンビニのおでんの卵を分けあひて食ふ
右腕がよぢれて内にもぐりたる黒きコートが吊されてあり
てのひらに判読不明の文字浮かぶむすんで開けばとちの実ひとつ
日に幾度わが溜息を聞きてゐむ妻は猫語でおやすみをいふ
わたつみの鷗を見むと東京の地底遙かに運ばれてゆく
バスタブに遊ばす左右さうの膝小僧しんじつ生きてきたのだらうか
一九四五年三月、叔父健児、宮崎県都城みやこのじやうにて戦死。二十三歳。
銃弾を浴びたる兵は讃美歌を口ずさみつつ水欲りしとふ
父たちの戦後をときになみし来て何も持たざるわれらとなりぬ
裸足にて海界うなさか越ゆる橋あらば日の暮れ方を渡りゆかむを
受賞歴 平成16年『斧と勾玉』で第54回芸術選奨文部科学大臣新人賞及び
第9回寺山修司短歌賞受賞
平成26年 作品「ブリッジ」30首で第50回短歌研究賞受賞
平成27年 『虚空の橋』で第2回佐藤佐太郎短歌賞及び第20回
若山牧水賞受賞
作歌活動 昭和50年「まひる野」入会、昭和57年「音」創刊に参加。
宮中「歌会始の儀」選者。

歌集:『壺中の空』『海界の雲』『斧と勾玉』『夾竹桃と葱坊主』
その他著書:『うたの生成・歌のゆくえ』など。