若山牧水賞【若山牧水賞運営委員会】

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ホーム > 歴代受賞者 > 第16回若山牧水賞(2011年)大下 一真

歴代受賞者

第16回若山牧水賞

受賞者 大下 一真 おおした いっしん

歌人・僧侶
昭和23年 静岡県生まれ
駒澤大学仏教学部卒業

大下 一真
受賞作品 歌集『月食』 第5歌集
◎発行所/砂子屋書房
◎発行年月日/平成23年7月2日
~自選15首~
鵯(ひよ)の声聞かぬと見上ぐる空高しさえぎるものなく寒さは降るか
除夜の鐘撞き終え音立て蕎麦すする僧形この身も寒さは寒し
天窓に白き光を運ばすはどなたぞ人の世は朝となる
かそかなる音の軋みて霧動く夏の暁闇明けんとしつつ
水色の羅の袈裟まとえばおのずから風立つ心に晩の経誦す
庭を掃く姿たまたま写されてつまらなそうなるこれがわが貌
月明を浴びつつ石段帰り来る猫の前世はこの山の僧
たらちねの母の胸処にわが手もて戒脈入れて納棺申す
新聞はここ二日ほど読まざりき母の通夜終え月食に遇う
僧なれば幾万の経誦し来たれ今声合わすは母の葬儀ぞ
つくほうしつくつくほうしつくつくほ 寂しいぞ母のあらぬというは
梅の花ほほほと開き桃の花ぽぽぽと笑い人は戦う
卒塔婆の百本ばかり書き終えて墨の香まとい清僧にあり
樹下の闇さくらおんなの舞を見し記憶たしかに今朝二日酔い
天に登る蔓も梯子も見えざれば地上の日暮れ酒飲み始む
受賞歴 平成17年 歌集『足下』で第32回日本歌人クラブ賞
平成21年 歌集『即今』で第14回寺山修司短歌賞
作歌活動 昭和39年 「まひる野」入会
昭和57年 「まひる野」編集委員

歌集:
『存在』『掃葉』『足下』『即今』
評論集:
『山崎方代のうた』