ホーム > 歴代受賞者 > 第15回若山牧水賞(2010年)川野 里子
歴代受賞者
第15回若山牧水賞
受賞者
川野 里子
氏
昭和34年 大分県生まれ
千葉大学大学院文学研究科修士課程修了 |
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受賞作品 |
歌集『王者の道(おうじゃのみち)』 第4歌集
◎発行所/角川書店
◎発行年月日/平成22年8月26日
- ~自選15首~
- 夫がつらなる時間は絹糸の艶もてりきみがふるさとにぴんと張る糸
- さびしいか右足出してさびしいか左足出して 蟇は歩めり
- 曽我さん一家いくたびも並べ飽きぬ国、闇となす国どちらも怖し
- 背中にひとり湿布貼るすべ湿布ひろげ狙ひさだめて寝ころぶと言ふ
- ここで死にたいここでと言ふ母の不思議な力家にくひ込む
- ひとり、一枚。天涯孤独の軽さもてふと羽衣を着るまでの生
- 母は熊襲、父は蝦夷の裔なれば剛毛のこの息子(こ)生き難くゐる
- 母を辞めし母に追ひつくものなくて椎の実樫の実ぴかぴか跳びぬ
- すみません水くださいと母言へりこの世のどこかの誰かに向けて
- 産み捨てて蝶が去るとき万緑はすこし窪みぬ蝶の重みに
- 巨峰つくりし日本の巨峰のごとき自負大きく甘くみつしりと病む
- サンチャゴの鐘は遠き日耶蘇の鐘納戸のやうな豊後に響(な)りぬ
- さくらさくらふはりと降りてあんぱんの臍の窪みを湿らせ咲けり
- 食べこぼす母を見てゐるわれはふとメジロとなりて花食みこぼす
- 桜散り桜が覆ふ母の家美しくなる棺のやうに
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受賞歴 |
平成15年 歌集『太陽の壺』で第13回河野愛子賞
平成22年 『幻想の重量 葛原妙子の戦後短歌』で第6回葛原妙子賞 |
作歌活動 |
昭和59年 「かりん」入会
NHK短歌選者(平成19年、20年)
歌集:
『五月の王』 『青鯨(せいげい)の日』 『太陽の壺』
評論集:
『未知の言葉であるために』
『幻想の重量 葛原妙子の戦後短歌』 |