若山牧水賞【若山牧水賞運営委員会】

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ホーム > 歴代受賞者 > 第14回若山牧水賞(2009年)大島 史洋

歴代受賞者

第14回若山牧水賞

受賞者 大島 史洋おおしま しよう

昭和19年 岐阜県生まれ
早稲田大学大学院国語学専攻修了

大島 史洋
受賞作品 歌集『センサーの影(かげ)』 第10歌集
◎発行所/ながらみ書房
◎発行年月日/平成21年4月10日
~自選15首~
思うらく骨の髄まで戦後なる時代を生きて今の不愉快
年齢とともに褪せゆく執着を楽しむごとくかき立てるごとく
エスカレーター左右にあれば真ん中の広き石段つまらなそうなり
怒りには力がいると切実に思いいしころ冷酷なりし
花の名を思い出せない母と立つ生ゴミ捨てし穴のかたえに
ふるさとの歌会を終えて撮られいる吾を見ており遠くで父が
嘘くさいとみずから思いしゃべりおり言葉と顔に力をこめて
わが部屋の書棚に夕陽差し入りて仏頭や梟みな笑い出す
自転車は積み重ねられ冬の陽の深く差し入るスポークの錆
いつまでも寝ぬ子をあやしている息子ちゃんちゃらおかしい夜のひととき
絶対に許さないとはどのような崖っぷちに人を立たせたのだろう
センサーに明かり点れば言いようのなき虚しさに影は伸びおり
妻の母看取りの日々の或る夜をわが家に来たり早く寝ぬるも
土日なく謝罪をつづけし晩年の役職を聞く友の訃報に
意味のない歌を好むはさもあらむそういう時代に生を受けたる
受賞歴 平成15年 歌集『燠火(おきび)』で第3回山本健吉文学賞
平成18年 『賞味期限』33首で第42回短歌研究賞
平成19年 歌集『封印』で第34回日本歌人クラブ賞
平成21年 歌集「センサーの影(かげ)」により第14回若山牧水賞受賞
作歌活動 昭和35年 「未来」入会
歌誌「未来」編集委員・選者

歌集:
『藍を走るべし』『わが心の帆』『炎樹(えんじゅ)』『時の雫』、
『いらかの世界』『四隣(しりん)』『幽明』『燠火(おきび)』『封印』
評論集:
『定型の視野』『定型の力』『定型の方法論』『歌の基盤』『言葉の遊歩道』