若山牧水賞【若山牧水賞運営委員会】

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ホーム > 歴代受賞者 > 第10回若山牧水賞(2005年)水原 紫苑

歴代受賞者

第10回若山牧水賞

受賞者 水原 紫苑みずはら しおん

昭和34年 神奈川県生まれ
早稲田大学大学院仏文学専攻修士課程修了

水原 紫苑
受賞作品 歌集『あかるたへ』
◎発行所/河出書房新社
◎発行年月日/平成16年11月30日
~自選15首~
流れゆくわたくし浅き川なるに中之島もてり子らは遊べよ
〈戦争の木と契りつつあまたなる男(をのこ)と寝たり養はむため〉
花の奥にさらに花在りわたくしの奥にわれ無く白犬棲むを
さくらさくら桜わだつみ漕ぎいでて西行く人にふよしもがな
しじふから、すずめ、ちひさき鳥たちのいづれも空のかぎをもてりや
国家幻想破れむ日より一管のまさしき笛とならむ短歌か
傘立てにあまたの傘の立てりける互(かた)みに犯さぬ荒魂もちて
革命者孔子を抱(いだ)かば楽音にさときその耳つめたかるらむ
人麻呂の行方は告げず寄せ返す波こそ青きいにしへを知れ
松風のこころはたれも知るものをうつそみゆゑに言ひあへぬかも
色淡き北の朝(あさ)日(ひ)子(こ)ゆらゆらに昇り来たりて鳥まつはらす
シアトルのイチローの秋如何ならむ箴言のごときそのうつしみよ
戦争の放棄は神のもちえざる思想なるべし人のするどさ
みごもりは老若男女を問はざらむおのがたましひ人はみごもる
みいのちの際(きは)に想ほす色ふかみわがスカーフの紫を言ひます
受賞歴 平成2年 歌集『びあんか』により第34回現代歌人協会賞受賞
平成11年 歌集『客人(まらうど)』により第1回駿河梅花文学賞受賞
平成12年 歌集『くわんおん(観音)』により第10回河野愛子賞受賞
平成17年 歌集『あかるたへ』により第5回山本健吉文学賞受賞
平成17年 歌集『あかるたへ』により第10回若山牧水賞受賞
作歌活動 昭和61年 「短歌」入会
平成16年 師の春日井建の逝去により「短歌」退会

歌集:『うたうら』、『いろせ』、『世阿弥の墓』
エッセイ集:『星の肉体』、『空ぞ忘れぬ』、『うたものがたり』、『京都うたものがたり』 ほか