若山牧水賞【若山牧水賞運営委員会】

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ホーム > 歴代受賞者 > 第8回若山牧水賞(2003年)栗木 京子

歴代受賞者

第8回若山牧水賞

受賞者 栗木 京子くりき きょうこ

昭和29年 愛知県生まれ
京都大学理学部卒業

栗木 京子
受賞作品 歌集『夏のうしろ』
◎発行所/短歌研究社
◎発行年月日/平成15年7月23日
~自選15首~
大雨の一夜は明けて試し刷りせしごと青き空ひろがりぬ
風景に横縞あはく引かれゐるごときすずしさ 秋がもう来る
死真似をして返事せぬ雪の午後 生真似をするわれかもしれず
雨降りの仔犬のやうな人が好き、なのに男はなぜ勝ちたがる
書き終へて手紙となりしいちまいのこころに朝の日は照り翳る
さびしさに北限ありや六月のゆふべ歩けど歩けど暮れず
竜胆の咲く朝の道この道を歩みつづける復員兵あり
九月来て昼の畳に寝ころべばわがふとももの息づきはじむ
反則で少し使ふ手にんげんの手は罪深くうるはしきかな
ふうはりと身の九割を風にして蝶飛びゆけり春の岬を
この寺を出ようとおもふ 黄昏の京を訪へば彌勒ささやく
国家といふ壁の中へとめり込みし釘の痛みぞ拉致被害者還る
音出さぬときレコードは垂直に立てられて夜の風を聴きをり
チンパンジーがバナナをもらふうれしさよ戦闘開始をキャスターは告ぐ
夏のうしろ、夕日のうしろ、悲しみのうしろにきつと天使ゐるらむ
受賞歴 平成7年 歌集『綺羅』により第5回河野愛子賞受賞
平成14年 雑誌『短歌研究』に掲載された『北限』30首により第38回短歌研究賞受賞
平成15年 歌集『夏のうしろ』により第8回若山牧水賞受賞
作歌活動 昭和50年に「コスモス」入会後、昭和54年に退会。
昭和56年から「塔」に入会し、現在「塔」選者。

歌集:『水惑星』『中庭』『綺羅』 『万葉の月』
歌書:『短歌を楽しむ』