ホーム > 歴代受賞者 > 第7回若山牧水賞(2002年)三枝 昂之
歴代受賞者
第7回若山牧水賞
受賞者 三枝 昂之 氏
昭和19年 山梨県生まれ 早稲田大学政経学部卒業 |
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受賞作品 |
歌集『農鳥』(のうとり)
◎発行所/ながらみ書房
◎発行年月日/平成14年7月15日
- ~自選15首~
- 静かなる沖と思うに網打ちて海に光を生む男あり
- まだ丘は樹木の奥に霧がある私はまれにふくろうとなる
- 冷えて冷えて人は寄らねど咲き競い容赦なし花の開く力は
- 甲斐は峡にして貝の国はろばろと舌が喜ぶ煮貝のあわび
- 名を付ける行為さびしも<回天>というちっぽけな鉄のかたまり
- 叙事がそのまま述志でもあり鼓舞である明治軍歌は日本晴れなり
- 夜のうちに降って積もって陽を溜めてわれを泥ませる春の雪よき
- こころざしなきがうれしき春の酒彼の人も彼の人も遠景にいる
- 桃咲いて甲斐天領のほのあかり母の視界もゆるぶであろう
- 人間の技美しき早苗田が水を呼び水が夏雲を呼ぶ
- 東国は早苗の季節水の季節水のむこうに水がひろがる
- 教室に乙女が語る夢ぞよし目を鎖せば夢はすぐそこにある
- 黒い日傘はらりと開きふたむかし経ても変わらぬかたわらの人
- もろもろに泥みし夜半に階下りておのれ量らむと計器に乗りぬ
- 立ち直るために瓦礫を人は掘る 広島でも長崎でもニューヨークでも
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受賞歴 |
昭和53年 歌集『水の覇権』により第22回現代歌人協会賞受賞
平成10年 歌集『甲州百目』により第3回寺山修司短歌賞を受賞
平成14年 歌集『農鳥』により第7回若山牧水賞受賞 |
作歌活動 |
高校時代から歌作を始め、大学では「早稲田短歌会」で活動。卒業後、同人誌「反措定」、歌誌「かりん」を経て、平成4年に歌誌「りとむ」を創刊。
歌集:
『やさしき志士達の世界へ』『水の覇権』『地の燠』『暦学』
『塔と季節の物語』『太郎次郎の東歌』『甲州百目』
評論集:
『現代定型論』『うたの水脈』『正岡子規からの手紙』
『現代短歌の修辞学』『前川佐美雄』 |