若山牧水賞【若山牧水賞運営委員会】

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ホーム > 歴代受賞者 > 第5回若山牧水賞(2000年)小高 賢

歴代受賞者

第5回若山牧水賞

受賞者 小高 賢こだか けん

昭和19年 東京都生まれ
慶応義塾大学経済学部卒業
平成26年死去

小高 賢
受賞作品 歌集『本所両国』(ほんじょりょうごく)
◎発行所/雁書館
◎発行年月日/平成12年6月15日
~自選15首~
公園のベンチに夕日待ちいたる夫、父でなく一人の初老
若鳥のさえずりに似て娘の友の名はあや、しおり、まい、あい、さゆり
老い母の素敵な恋の忘れ方ことばのあいま合間ににじむ
雲払う風のコスモス街道に母の手をひく母はわが母
三百六十五の昼と夜ありつらき夜の数ふやしつつ年齢ひとつ積む
この「その」は何を指すのか受験期の娘にたださるるわれの時評は
娘に買いしケーキを膝にねむるほど存在としての父ははかなし
にんげんの噂寄りつく耳という世に張り出せるふたつの港
居直りをきみは厭えど組織では居直る覚悟なければ負ける
八紘という名の友ありて勝義という同僚のありわが同世代
わが手足規矩に余ればもぐべしと裁かれたりし夕べの会議
多分おそらく老いのはてには完熟の恋のあるらん降りないぞまだ
ぎこちなくネクタイを締め出ずる子のわれのなくしたる朝の緊張
ポール・ニザンなんていうから笑われる娘のペディキュアはしろがねの星
バルセロナに妻の眠りはしずかにて旅のおわりの天井のしみ
受賞歴 平成12年 歌集『本所両国』により第5回若山牧水賞受賞
作歌活動 歌集:『耳の伝説』『家長』『太郎坂』『怪鳥の尾』『本所両国』
評論集:『批評への意志』『鑑賞現代短歌6・近藤芳美』『宮柊ニとその時代』『現代短歌の鑑賞101』ほか