若山牧水賞【若山牧水賞運営委員会】

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ホーム > 歴代受賞者 > 第1回若山牧水賞(1996年)高野 公彦

歴代受賞者

第1回若山牧水賞

受賞者 高野 公彦たかの きみひこ

昭和16年 愛媛県生まれ
東京教育大学文学部国文科卒業

高野 公彦
受賞作品 『天泣』(てんきふ)
◎発行所/短歌研究社
◎発行年月日/平成8年6月22日
~自選14首~
我を生みし母の骨片冷えをらむとほき一墓下一壺中(いちぼかいちこちゅう)にて
やはらかきふるき日本の言葉もて原発かぞふひい、ふう、みい、よ
殻割って食ふ蟹の肉 生きて食ふ鳥獣魚介何トンぐらゐか
転生のはざまのあはき生なりや柴蘇の葉わたる足細小蜘蛛
天の川夜空に輝りぬ我の手の跡きえゆくやかの乳房より
わが柩そとよりひたと閉すやうに鳴きしきりゐる雨夜こほろぎ
杖つきて歩く日が来む そして杖の要らぬ日が来む 君も彼も我も
まどろみの夢に顕ち来もあきかぜに女鷹の胸の白かりしこと
うらわかきヨセフとマリア抱き合ふ絵いまだ見る無し 一つゆふづつ
宮崎の熱きスピリット<百年の孤独>を飲みて孤独たのしむ
天泣のひかる昼すぎ公園にベビーカーひとつありて人ゐず
おぼろ夜の鈴の内らに棲む音を振り出だしけりさびしくて我は
いちじくの下かげ蒼し人は皆優しく待たれをりぬ柩に
滝、三日月、吊り橋、女体 うばたまの闇にしづかに身をそらすもの
受賞歴 昭和51年 コスモス賞受賞
昭和57年 歌集『ぎんやんま』により短歌研究賞受賞
平成8年 歌集『天泣』により第1回若山牧水賞受賞
作歌活動 大学在学中に「コスモス」に入会し宮柊二に師事。
現在、同人誌「桟橋」編集人。「コスモス」選者。

歌集:『汽水の光』『淡青』『水木』『雨月』『水行』
評論集:『地球時計の瞑想』
エッセイ集:『うたの前線』
ほか